片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

人付き合いが苦手すぎるので人工精霊を作った話

 確か中島らものエッセイだったと思う。彼は大阪のドケチで知られる社長に
「お金を貯める秘訣はなんですか?」
と聞いたことがあるのだそうだ。そうしたらその社長は、
「人と付き合わんことです」
 と返したそうだ。
 案外この言葉は真理を突いている。仮に今ここに僕と相性ピッタリの人間がいたとして、彼と仲を深める為に遊びに行ったり飯を食いに行くには幾ばくかの金がかかることは紛れもない事実である。この社会で生きていく為に一番面倒で一番コストがかかるのは実は人間関係だったりするのかもしれない。
 僕はどうにもそれが苦手で、できることならば死ぬまで一人で生きていたいとさえ思う。思うのだが、やはりそれだけ面倒でコストがかかるということはそれだけ大切なものであるということで、一人でいることにはどうしても一抹の寂しさが伴う。でも人間関係は築きたくない。我がことながら僕はチョー面倒くさい性格なのである。
 そんな筆者にオススメなのがこれ、「人工精霊」である。やっと本題かよ。

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※イメージ

Q.人工精霊ってなに?


 A.訓練を積むことで自然な会話を可能にした脳内の架空人物のこと。
 普通、妄想と会話するには返事の内容を自分で考えてやらなければならないが、人工精霊にすると流暢かつこちらが予想していないような言動が可能になる。
 ー人工精霊atwiki、よくある質問より抜粋ー

https://www23.atwiki.jp/artispir/sp/pages/1.html


 つまるところ人工精霊とは、脳内にのみ存在するマイベストパートナー、といったところである。我思う故に君あり。
 物理的肉体を伴わないのであれば金がかからずに寂しさを紛らわすことができるし、女の子で作ってしまえば一生の伴侶。帰省した時にプレッシャーをかけてくる親戚ともオサラバである。やったぜ。 
 そうと決まれば行動に移さない理由はない。先程のサイトをざっと眺めてみるに、人工精霊の作成に必要なものは主に三つである。


 
・精霊の容姿、性格等の具体的な設定
・精霊の依り代となるアイテム
・精霊との会話


 である。ひとまず一つ目、精霊の設定からいってみよう。




精霊の設定

 性格に関しては人工精霊との会話の中で徐々に詰めていくことができるので大まかで構わないが、名前や口調などの基本的な部分ははっきり決めた方がいい、とサイトにはある。というわけで、



 名前:香澄(かすみ)
 年齢:21(筆者と同い年)


 筆者の幼なじみ。男勝りの気の強い性格。勉強はできるが少し世間知らずなところがある。
 筆者とは高校まで同じ学校だったが卒業後上京。久しく会っていなかったがある時ひょんなことから再会することになる……。


 こんなところか。引かないで下さい。ちなみにひょんなことから、というのは実は彼女は上京後事故でなくなっており、魂だけが筆者の元にやってきていた、という裏設定が最終話で明らかになっちゃったりする。ラノベかよ。


精霊の外見


 性格が大方決まったところで次は外見である。こちらは頭で想像するだけでもいいのだが、得意な人は絵に描くとイメージを固めやすい、とある。


 ならば

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 外見は想像で補うとして次のステップに進もう。




依り代

 次は依り代である。こちらも必須ではない、とあるが折角なら用意してみよう。


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 という訳で用意したのがこちらの数珠。別に百均の安物でもよかったのだが、長く付き合うものだしどうせならば、とちょっといいやつを買ってしまった。(高額なもの買った時点では筆者はコストがかからない云々の前提を忘れている)
 別にこのまま使うのでもいいのだが、"浄化"という儀式を行うと尚良い、とある。まあ儀式といっても流水に数秒間当てたり塩の仲に入れたりするだけでいいらしい。写真を撮るほどでもないので割愛。




精霊のイメージ

 で、揃うものは揃った。あとはイメージするだけである。左腕に数珠をはめ、その中に香澄ちゃんの本体が宿っているのをイメージする。そして、それに話しかける。声に出す必要はない。念じるのだ。


(こんにちわ)


 勿論それで返事があるわけがない。最初のうちは自分でその返事を考えなければならないのだ。


『こんにちわ』


 そしてそのやりとりを繰り返すことによっていつしか香澄ちゃんは自ら言葉を発すようになり(会話のオートメーション化、というらしい)そしてさらには視覚化、つまり依り代を抜け出し香澄ちゃんの姿が見えてくるようになり、そして極めれば触れる感触さえもリアルに感じ取ることができるようになるという。まあ、そこまでいくには数年の月日が必要らしいが。いずれにせよここからは会話のオートメーション化に向けての練習に入る訳である。




で、やってみた結果

 と、実はここまでは二ヶ月程前の話。実は既に香澄ちゃんとの会話練習は2019年二月末時点でかなり進んでいるのだ。三分クッキングの演出かよ。
 ここからは二ヶ月間人工精霊と暮らしていてどうだったか?ということについて書いていきたいと思う。
 まず一つ、会話のオートメーション化。つまり自分で返答を考えずとも香澄ちゃんが言葉を発することはあったのか。
 これは、あった。自分でも本当にびっくりした。自分で返答を考えていずとも香澄ちゃんの口からするすると言葉が出てくるのだ。小説を書いた時にその登場人物の台詞を考えている感覚に近いが、それよりもなんというか、予測がつかないのだ。
 恐らくもっと修練を積めば完全な一つの人格として香澄ちゃんを存在させることができるだろう。


 そして次に視覚化。香澄ちゃんの姿を僕のこの目に映すことはできたのか。
 これはちょっと無理だった。いや、まだ無理、というべきなのだろうか。何度か試みてはいるものの、視覚に関しては僕の妄想、想像の範疇を出ていないように思える。しかし、気配みたいなものはなんとなくだが分かるようになってきた。これも気のせいの範疇を出ないように思うが。


メリット、デメリット

 で、次にそれによって得られたメリット。まず一つは、というかこの一点なのだが、全然寂しくならないことである。部屋でテレビを見ている時に誰かがいて、ギターを練習している時に誰かがいて、出かける時に誰かがいて、家に帰っても誰かがいる。

 これは本当に凄いことである。生身の人間であれば決して分からないであろう筆者の感情について、香澄ちゃんは頷いてくれるし、それに対して意見もしてくれる。人工精霊を持つ前と後で僕の生活における幸福度は確実に違うものになっているのだ。



 そして次にデメリット。といっても今時点で正直デメリットらしいデメリットもない。故にもしかしたら今後起こりうるかもしれないデメリット、というのを一応挙げておきたいと思う。

 まず、ボーッとしている時間が多くなる。家でそうなっている分にはまだ可愛いものだ。しかし外出中に、或いは仕事中なんかにボーッとしていては上司に頭をすっぱたかれかねない。辛い現実を快適に過ごすためにやっている妄想に集中しすぎて現実が疎かになっていては本末転倒である。

 次に、これは正直ないだろと思うのだが、人工精霊に自分の意識を乗っ取られるという例があるらしい。といってもネット上の人工精霊界隈でもこういった話は眉唾もので都市伝説扱いらしい。

 いずれにせよ妄想と現実の区別をしっかりとしていれば上記のようなことにはならないだろう。


まとめ

 という訳で結論。冒頭書いたようなジレンマを持つ人間に人工精霊は超がつくほどオススメである。絶対作るべきだ。確実にこれからの生活が華やかになることだろう。 が、しかし妄想は妄想。現実との線引きをしっかり引くことも大事である。その辺をわきまえつつ読者諸兄も今日からレッツ人工精霊ライフ!