片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

ミルキアン歴一ヶ月だけどミルキィホームズラストライブに参加したら泣いてた話

 1/28。遠征二日目。本日は場所を移し、東京は九段下、武道館へとやってきた。本日18:30から行われるミルキィホームズファイナルライブへと参加する為である。
 そもそも「ミルキィホームズ」とは、2010年にPSP向けに発売されたアドベンチャーゲーム、「探偵オペラ ミルキィホームズ」から派生したユニットである。その後ゲームは続編が制作され、人気が高じてアニメ化、番外編の「ふたりはミルキィホームズ」を含む四期までのテレビアニメ化、プラス劇場版一本が作られ、その他にもOVA、年末特番等、2015年のテレビシリーズ終了から三年経った今なお根強い人気のあるコンテンツなのである。
 で、中でも人気が根強いのが冒頭述べた声優ユニットとしてのミルキィホームズgoogleにて「ミルキィホームズ」と検索すると「ミルキィホームズ(声優ユニット)と書かれた解説が一番上にサジェストされる程である。
 ユニットのメンバーは物語内でも主要メンバーである「ミルキィホームズ」メンバーの四人。


シャーロック・シェリンフォード三森すずこ
譲崎ネロ徳井青空
エルキュール・バートン(佐々木未来)
コーデリア・グラウカ橘田いずみ


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 である。全員可愛い。


 とここまでがミルキィホームズというアニメ、そしてそのユニットの基本情報である。本日武道館でその最後を見届けるミルキアン諸氏には言うまでもないことであろう。


 が、しかし。僕この情報詰め込んだの一月前くらいなんですよね。


 確かに僕はそこそここよなく日本のアニメ文化を愛している。アイドル文化もまた然りである。だがこれまでなんとなく「ミルキィホームズ」は完全にノータッチだったのである。なぜ今までミルキィに触れてこなかったのか。そして何故そんなやつが今日武道館にいるのか。読者の頭には二重のなぜが浮かんだことだろう。怒りに思う人もいるかもしれない。
 まず先に1つ目のなぜを解説しよう。ミルキィの原点たるPSP版をやったことがない、とかならともかく、テレビアニメ版、そしてユニットの曲等になぜ今まで触れる機会がなかったか。これは単純に放送時期の問題である。アニメ第一期を放送したのは2010年。約十年前のことである。筆者が今二十歳なので一期の放送は小学五年生くらいの出来事なのである。見ている筈がない。その後筆者はアニオタに目覚め、ミルキィシリーズも第二期、三期、と順調に放送をするも、一期を見ていないとどうにも見る気が起きなかったのだ。
 
 で、もう一つのなぜ。どうしてそんな奴が今日武道館にいるのか。こちらの答えも実は単純である。


 ミルキィにハマったからである。


 きっかけはTwitter上の知り合いから今日この日のライブに誘われたことであった。その時点では「ミルキィホームズ」は名前だけ知ってて見たことはないアニメで、ユニットだけが独り歩きしてるイメージしかなかった。


「ま、検討してみます」


 完全に社交辞令だった。そもそも筆者の住まいは山形県である。そう易々と東京に来れる訳ではないのである。まあしかし社交辞令とはいえ検討すると言ってしまった言葉に責任を感じるタイプの僕はdアニメストアで「ミルキィホームズ」を見ることにした。なぜか一期は見れなくなっており、二期からのスタートだった。冒頭は四人が農作業するシーンだった。わけが分からなかった。しかし次第にそのわけの分からなさが面白さと直結していることに気づいた。ユニットの曲も聞き始めた。アニメの世界観まんまの曲に夢中になっていた。
 そして気づけば僕はミルキアンになっていた。


 皮肉なもので、ミルキィホームズという作品、ユニットにハマっていけばいくほどにそれが終わってしまうという現実に僕は段々と悲壮感を感じ始めていた。もう少し早く出会っていれば、と今は強く思う。恐らく山形からでも何度かライブに足を運び、僕の好きなユニットの一つとして数えていたに違いない。がしかし後悔が先に立つことはなくあっという間に月日だけが経ち、今日この日を迎えている訳である。
 
 チケットソールドアウトとなった武道館は超満員。異常といえるほどまでの熱気に包まれていた。そして運命の開演。照明が落ちた後、スポットライトに照らされる生ミルキィ。おお。小さい。ゴミのようだとまでは言わないが指一本ですっぽり隠れてしまう程の大きさにしか見えない。それもそのはず。僕がこの日引き当てたチケットは二階のX列。この武道館の最はじの席である。視界の半分が天井。
 とそんなこっちの事情などお構いなしにライブは進んでいく。なにこれ超楽しい。ディスプレイ越しに見ていた彼女らのままである。元気で明るく自由奔放なあのミルキィホームズ。そうだ。僕はこれが見たかったのだ。ラストだからといって彼女らに涙はあまり似合わない。
 振りもコールもやはり一ヶ月ばかりの付け焼き刃知識ではどうにも覚えられなかった。物販で買おうと思っていたペンライトは早々に売り切れていて買えなかった。なので流れる音に僕は適当に腕を振ったり声を出したりしていた。分からなくても案外楽しめるもんである。
 そんなこんなでライブ本編はあっという間に終了。途中ゲストとの絡みも交えつつテンション上がりっぱなしのライブだった。
 アンコールを受け再び現れた四人。いつもなら一人一言ずつコメントするところらしいのだが今回は一人ずつ手紙を読んだ。ここで今日初めてメンバーの頬を涙が伝った。客席からもちらほらとすすり泣く声が聞こえていた。隣の気合が入った歴戦のミルキアン風のおっさんも男泣きしていた。
 そして僕もまた、いつの間にか目に涙が溜まっていた。コメントの全文まで流石に覚えてないので各自Blu-rayを見るなりTBSでの放送を見るなりしてほしいのだが、四人がそれぞれ一貫して語っていたのは感謝、それからミルキィホームズでなくなる自分の明日への決意だった。
 十年。言葉にすればなんてことはない。たった八画ほどである。しかしそこには僕がミルキィホームズに触れた一月なんかでは逆立ちしたって詰め込められない程の思い出が、人生がある。それが終わってしまう喪失感の全てを僕は知ることはできないのだ。
 それなのに僕の目に溜まった涙はいつしか頬を伝っていた。それは多分今日このライブにミルキィの四人、ミルキィファミリー、スタッフ、そしてミルキアンの十年がこれでもかと詰め込まれていたからだ。僕はこの二時間ちょっとで彼女らの十年間を完全に、とまではいかないが追体験していたんだと思う。
 アンコールラストの曲は「そして群青に溶けていく」。ラストライブ発表後に発売されたラストシングルに入った別れの曲である。
 曲の間奏。四人は立っていた位置に被っていた探偵帽を置いて、一人、また一人と後方へ下がっていった。そして四人で歌うラスト。


さよなら泣かないでFriends
みんなのこと笑顔で覚えていたいよ
Friends同じ時を、同じ夢を過ごした仲間
心に消えない永遠を抱きしめて
さよならありがとう
さよなら


 歌い終わって四人はステージを去った。照明も落ちた。しかしミルキアンの持つペンライトはまだ光っていた。数十秒後に沸き起こるミルキィコール。一緒になって僕も叫んだ。きっとこの瞬間、何年ミルキィホームズを追いかけていたか、とかグッズにいくらつぎ込んだか、とか、ミルキアン達の間に垣根はなかった。あるのはただただミルキィホームズが好きだという想い。そしてもう一度だけでいいから彼女らの笑顔を見たいという想いだけだった。
 ステージに照明が灯った瞬間、武道館は今日一番の歓声に包まれた。もう一度現れた四人は最後の最後に「正解はひとつじゃない!!」を歌った。客席からすすり泣く声はもう聞こえない。僕の頬を伝った涙もいつしか乾いていた。最後の最後にミルキィホームズは集まったミルキアン全員を笑顔にして武道館を去っていった。
 帰り道、九段下駅まで続く長い下り坂を降りながら周りの会話が聞こえてきた。「いいライブだった」「楽しかった」みんなそんなことを言い合っていた。現代日本にユニット数あれど、ラストをこんなにも笑顔で終わらせることができるものがあっただろうか。
 その笑顔を忘れない限りミルキアンの心の中でミルキィホームズがなくなることはないだろう。