片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

メンヘラじゃないけどR指定presentsメンヘラの集いDAY2に参加してきた

 最初に言っておくが僕は別にメンヘラと呼ばれる程心が病んでいるわけではない。が、しかし東京遠征二日目の今日、参加するライブは「メンヘラの集い」である。主催は「R指定」というロックバンド。その他に「アーバンギャルド」、「椎名ぴかりん」、「魔法少女になり隊」、「ぜんぶきみのせいだ」等かなり濃いメンツが出演するそうである。
 では何故僕がこのライブに参戦するかというと、その理由は先日参加した「夏の魔物」というロックフェスにある。実は先程あげたグループのほとんどがこの夏の魔物に出演したグループであり、僕はそのほとんどを遅刻の為に見逃してしまっているのである。特に「アーバンギャルド」に関してはこれまで何度もライブに足を運ぼうと思っておきながら今まで一度も行けていない。それに加えて他にも気になるグループが何組か登場するというこのフェス(フェスというくくりでいいのだろうか?)。僕は参加せざるを得ないというわけである。
 というわけで現在時刻は16:26。既に会場のTUTAYA-O-EASTに入場済みである。客層は若い女性多め。ほとんどがロリータちゃんである。かわいい。会場は大きめ。僕のチケット番号から察するに五六百人が収容されているが、後方にはかなり余裕がある。メインステージが中央にあるが、ステージ上手側に小さなサブステージがあるようである。
 会場にかかる怪しげなBGMが止まり、客電が落ちたのは16:30丁度だった。


 一番手で現れたのは「シェルミィ」というビジュアル系ロックバンド。最初はサブステージからのようである。猫(犬?)耳をつけたボーカルに鬼の角を付けたベース。ドラムを叩く天狗に女性のような出で立ちのギター(多分男性)。がそれぞれ和装で激しいロックナンバーを奏でるという趣向のグループのようである。
 初っ端から、いや初っ端だからこそといった感じで激しいナンバーを立て続ける(今後のアーティスト達もそうだがほとんど曲名等詳細は分からないのでセトリ気になる方はそれぞれ探してください)。
 二曲目でボーカルが「飴玉をちょうだい!」とコールアンドレスポンスし、会場全体で「飴玉をちょうだい!」と叫んでいたのが印象的だった。
 シェルミィは三曲程で終幕。サブステージは十五分しか持ち時間が無いらしい。ステージの幕はまさかの手動であった。まだ演奏続いてる間に閉まってしまったのだが大丈夫だったのだろうか?


 そして五分程後に遂にメインステージの幕が開かれた。現れたのは「BRATS」。ボーカル、ベース、ギターが女性でドラムだけ男性という四人編成のバンドである。ボーカルの女性とは思えない程の(いや声は可愛いが)圧倒的声量を持った力強い歌声に痺れた。
「メインステージのトップバッターということで、残り三曲盛り上がっていきましょう!」
 と言ったのが二曲目の終わり。BRATSは五曲を披露してステージを降りた。


 またもや五分ほどして現れたのは「椎名ぴかりん」。というかまず初めに現れたのは大きな旗を持った女性二人。バックダンサーだろうか。何やら怪しげなBGMがかかり、赤い照明が灯っている。不穏な空気である。そして現れるぴかりん。
「こんな人間界に生まれた皆さん……」


「幸せですかー!?」


 と途端に転調。明るい曲調である。おお。予想に反して明るく可愛く健全なアイドルである。先程までのは単なるメンヘラの集い用の演出だったのだろうか。
 と思った途端、唐突なデスボ。またもや赤い照明。
 あの体からこんな声が出るのか……。と唖然としている僕を余所にステージは進行する。その後もぴかりんは鼻にかかったような所謂アニメ声とデスボを織り交ぜながら叫ぶように歌う。普通に歌がうまい。
 二曲歌ったところでMCタイム。色々告知があったそうなので気になる方は公式サイトをチェック。
 その後ぴかりんは立て続けに二曲歌うといったんステージ脇へとはけていった。あれ、終わりか?でもバックダンサーはステージに残っている。というか座りだした。そして土下座のような体制。何をするんだろうと思っていると、なんと客席後方から観客達がどんどん座り始めたではないか。
 そしてもう一度現れるぴかりん。
「崇めなさい」
 と一言だけいうと曲に入りだした。
 その後の光景はまるで何かの白昼夢のようであった。歌っている最中にステージと客席の間の柵を乗り越えたぴかりんは、サビに入る頃にはほぼ全員が土下座の体制となった観客の背中を踏んで歩き回ったのである。衝撃。そしてそのまま背中を伝って客席後方までいくとそのままバックステージへさささーっと走り去っていってしまった。ちょっと僕も踏まれたかった。後に調べてみるにこれは恒例行事らしい。


 次にメインステージに現れたのは「廻天百眼」。幕が開いたのと同時に懐中電灯のような指向性の白いライトがいくつも灯る。そのまま曲が始まるが、ステージは真っ暗な為メンバーの姿は逆光でよく見えない。どうやらメンバー一人一人がライトを持って歌っているようである。というか多くないだろうか。メンバー一人一人持ってるとしたら十人くらいいることになるのだが……。
 結局メンバーの姿がよく分からぬまま荘厳な雰囲気漂う一曲目が終わった。そして二曲目になってステージの照明が灯ると……。
 多い。どうも男女混合のボーカルユニットであるらしいのだがそのメンバーの数は数えたところなんと十一人。後方の演奏隊も含めると十五人である。
 そしてそのメンバーのどれもが個性的な衣装に見を包んでいる。和洋男女多種多様すぎる……。個人的に東方projectのキャラクターを思い出してしまった。
 楽曲はボーカル十一人の混声合唱とロックミュージックが合わさってなかなか新鮮である。メンバーの衣装も相まり、まるでひとつのミュージカルを見ていたかのようであった。


 次に現れたのは「魔法少女になり隊」。テクノポップなSEにのって現れたメンバーの数は五人。男女のツインボーカルにギター二人ベース一人という編成である。
「呪いを解くため旅する魔法少女になり隊」
「果たして明日は何が起こるのだろうか」
 とスクリーンに映し出されるレトロゲーム風の文字。どうやらスクリーンをフル活用するようである。
 一曲目から激しいナンバー。バンドサウンド主体でありながら電子音楽も取り入れたなんとも不思議なサウンドである。polysicsよりも若干バンドサウンド寄りの音と言ったところか。ボーカルは基本女性。男性の方は合間合間にシャウトしたりする盛り上げ役のようである。髪型も相まり若干松永天馬っぽい。
 そして二曲目にはなんとおジャ魔女カーニバルのカバー。激しいギターサウンド電子音楽が見事にマッチし、BPMは早めにアレンジしているようである。これには思わず筆者もテンションがぶち上がった。
「よかったら最後まで見ていってくださいね」
 とその後三曲やったところで魔法少女になり隊の出番は終了となった。


 「魔法少女になり隊」の出番終了後、ざわざわとおしゃべりの絶えない場内に一つの声が上がった。
「おい、こっちだよこっち」
 声が聞こえたのはサブステージの方。立て続けにメインステージでのライブが続いていたが故にサブステージの幕が空いたことに気づかぬものが多かったようである。次に登場したのは「哲屑廃棄’小島ふかせ’」である。
 メンバーは三人。女性のボーカルギターに男性のベースとドラムとシンプルな編成。その和装も相まってどこか「人間椅子」を彷彿とさせる出で立ちである。
「こっちだよこっち、お前らメインステージばっかで油断してんじゃねえよ」
 ボーカルの女性の挑発的な口調のMCを皮切りに演奏が始まった。
 すごい音圧である。とても三人とは思えない。そしてボーカルの歌うよりも叫びに近い絶唱が鼓膜をガンガン刺激してくる。すごい声量である。
「今日は十五分で手持ちポケモン三体しかいないので二曲目にグラードン出します」
 と演奏を始めたのはスローテンポの曲。歌詞を聞き取りたいのだが如何せん音が大きすぎてよく聞こえない。できれば後でCD購入して聞きたいものである。


 三曲演奏してサブステージの幕が閉まるとお次はメインステージで「ぜんぶ君のせいだ。」の出番である。
 幕があがった途端、「ぜんぶ君のせいだ」という女性の囁き声のようなものがリフレインする。その声の重なりがピークに達すると四人のメンバーが登場。四人の女性ボーカルユニットのようである。それぞれ可愛らしいドレスのような衣装を身にまとっている。
「ぜんぶ君のせいだ!」
 メンバーが叫ぶと流れるように一曲目に入る。その可愛らしい風体からは考えられないほど激しい曲調である。その激しい曲に合わせて飛んで跳ねる観客。後方からみる分にはまるで客席が一つの波になっているようである。
「やみかわいいで世界征服、『ぜんぶ君のせいだ』です」
 三曲目ではメンバーがそれぞれ歌いながら客席へと降りてきた。観客の背中は踏まずにだが。広い客席に四人が満編なく散らばり歌うと、まるで会場全体が彼女達によって支配されたかのようである。
 そこからステージへと戻った四人はそれから二曲を披露した。最後にマイクを通さず
「ありがとうございました!」
 と叫んでいたのが印象的だった。


 そしてお次は筆者お待ちかねの「アーバンギャルド」。生で見るのは初めてである。
「どうもこんばんわ!アーバンギャルドです!」
 とボーカルの松永天馬がシャウトを効かせて叫ぶ。おお。生だとより気持ち悪い(良い意味で)。そしてツインボーカルの双璧をなす浜崎陽子は真っ赤なドレス姿である。美しい。
 一曲目はおなじみ「ワンピース心中」、それから「病めるアイドル」と続く。どちらもポップな曲調でありながら歌詞は病的である。まさにメンヘラの集いに相応しい。
 二曲やったところで軽くMC。
「メンヘラでゴメンヘラーー!!」
 と松永が叫ぶ。これを第一回メンヘラの集いで言い出したのは当の松永だそうである。
 三曲目は「自撮入門」。この曲は間奏中のみステージ上の撮影が許可されている曲である。筆者も撮ってみた。

f:id:tanadaimonster94:20181019074129j:image
f:id:tanadaimonster94:20181019074149j:image
f:id:tanadaimonster94:20181019074203j:image
 
 ブレブレ。筆者のブラックベリースマホはあまり画質良くないのだけがネックである。ちなみにこの時「R指定」のボーカルマモが現れているそうなのだが全然気づかなかった。
 そして四曲目は「堕天使ポップ」。激しいテンポのナンバーが続く。そして五曲目は「ノンフィクションソング」。
「生きろ これは命令形だ
 死ぬな これは命令形だ」
 という歌詞が繰り返される。僕の好きな曲の一つだ。やはり生で聞くとそのメッセージが心にダイレクトに届く気がする。
 その五曲を歌ったところで「アーバンギャルド」のステージは終了となった。


 そしてラストを飾るのは本公演主催の「R指定」である。幕が開かれた途端、まだメンバーが登場していないにも関わらず客席からは黄色い大歓声があがる。ギター二人、ベース、ドラム計四人の演奏隊が出てくるとその歓声は激しさを増す。そしてボーカルのマモが現れたところで歓声はピークを迎えた。
 照明が灯って一曲目。先程のアーバンギャルドと比べてゴリゴリのハードロックサウンドである。そしてボーカルのマモの変幻自在の声音が合わさり完璧なサウンドに仕上がっている。なるほど。正直言うと単なるビジュアル(だけでファンを釣っている)系のバンドだろうと侮っていたのだが確かにこのサウンドは本物である。黄色い歓声で歌詞が聞き取れないのがもどかしいがこれはCD購入を検討してもいいかもしれない。
 三曲を披露したところで軽く、というかガッツリMCタイム。巻きすぎて時間が余っているのだろうか。
「○○とか○○とかポジティブなことばっか歌ってるj-popはクソだと思ってる(○の中身はご想像にお任せします。ただ、僕も同意見)」
「メンヘラを救える歌を作れるのはメンヘラだけ」
「次回のメンヘラの集いはポジティブクソ軍団vsメンヘラ軍団でやろう」
 等と言っていたのが記憶に残っている。
 MCが終わるとまたもや立て続けに二曲を披露した。特に五曲目にマモがギターを弾きながら歌っていたのが同じ男ながら格好いいと思った。
 そしてラスト六曲目は客席全体がマモのコールに合わせて右に左に大移動。すごい。壮観である。
 ラストの曲が終わって「R指定」メンバーが降壇して尚鳴り止まぬ歓声。そのまますぐアンコールが沸き起こった。


 数分の後、アンコールに応えて再び現れる「R指定」メンバー。改めて本日集まった観客に感謝を述べるなどした。
 そして本日出演したアーティスト達が再登場(魔法少女になり隊、椎名ぴかりんは登壇しなかった。スケジュールの都合らしい)。
 そして最後に全員でセッション。前に出まくる松永と対象的に後ろで棒立ちの浜崎容子、ギターを無理矢理弾こうとしてメンバーに止められる小島ふかせのボーカルの姿等が印象的だった。小島ふかせいいなぁ。今度聞いてみよう。
 そしてセッションが終わり一組ずつ降壇。マモは最後まで残り黄色い歓声を一身に浴びていたが、その歓声も数秒の後に途絶えた。

 


まとめ
 昨今巷にはただいたずらに希望的観測をするだけの歌がはびこっている。確かに心の中の闇、世の不条理に対して「目を背ける」というのは一つのやり方であるのかも分からない。
 しかし心の中の闇は誰しも普遍的に持つものであって、それから逃れることなどできないし、生きていくということはそもそも不条理なことである。
 この「メンヘラの集い」に参加したアーティスト達はその「闇」と正面から向き合うことを選んだ者達だ。それぞれがそれぞれのやり方で闇と向き合い、それと上手に付き合っていく方法を考えている。そんな彼らだからこそメンヘラ達は集う。
 僕は冒頭「メンヘラではない」云々言っていたが、そんな彼らに惹かれた僕もまたメンヘラであるのかもしれない。