片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

ハリネズミのジレンマ(山形市にある噂のハリネズミカフェに行ってきた)

 一人暮らしをするということはそれすなわち一人で暮らすということであって、それすなわちどうしたって寂しさという感情とは切っても切れぬ縁ができてしまう訳である。それならばどなたか一緒に住んでくれる人はいないか、と辺りを見回してみれど、そこには彼女いない歴二十年の僕が一人突っ立ているばかり。それならば犬か猫を飼ってみよう、と思い立って賃貸の契約書を見回してみれど、そこにはペット不可の文字が踊っている。これでは八方塞がりである。
 いや待てよ、と僕はもう一度賃貸の契約書を見直してみた。確かにそこにはペット不可の文字がある。だがしかし、よくみればその横に小さく(小動物可)とあるではないか。
 小動物、といえばすなわち金魚やら亀やらインコやらハムスターなどである。確かにそれらを飼うのが寂しさを紛らわせるのに最善の手段であるかも分からない。
 しかしなぁ。ハムスターなぁ。なんか普通なんだよなぁ。
 生粋のサブカル男児の僕としては、正直この選択は非常に不本意である。どうせペットを飼うならばあまり他人が飼わないものを飼っていたいし、そもそも白黒で統一する予定のこの部屋に、金魚やらハムスターはちょっと合わない気がするのだ。
 というわけで、google先生にて「小動物」「ペット」「珍しい」「白」「黒」などのワードで画像検索。
 ああ、なるほど……真っ白のハムスターってのもあるのか……。うさぎなぁ……なんか寂しいアラサーOLみたいだなぁ(偏見)……。
 などと思いながらページをスクロールしていると、

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 見よ、この見事なまでの黒と白の毛並み。


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 そしてこの愛くるしさ。
 これ程ピッタリなペットがそうあろうか。いや、ない。んなもんあるわけない。だってこんなに可愛いんだもの。あってたまるものか。というかあろうがなかろうがもうどうでも可愛いい可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。


 などと若干変なテンションになりながらハリネズミの購入、世話の仕方等を検索。どうやら山形市内にハリネズミカフェというものがあり、そこで飼育セットと一緒に個体の販売もやっているらしい。その辺のホームセンターにくっついているペットショップ等でたまに販売しているのを見るが、ああいったものは諸外国から輸入されてきたもので、人に慣れづらく、また短命である可能性が高いのだとか。
 そんな訳ですぐさまハリネズミカフェへ連絡。購入する前に、取り敢えず三十分のふれあいコースを体験してみることにした。

 

ハリネズミカフェへ

 北山形駅から歩いて約五分。こちらがハリネズミカフェのしゃべコミュ山形店である。(店の外観撮るの忘れた)同系列で仙台店もあるらしい。

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 中に入ると店の真ん中にハリネズミの飼育ケージが。
 カウンターに予約した旨を伝え、席に案内されると、店員からいくつかの注意事項を伝えられ、ふれあいタイムスタート。僕は手渡された木箱の中のハリネズミを抱き抱えた。

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 めっちゃ痛い。



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 めっちゃ可愛い。



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 名前はマリーちゃんだそうだ。
 確かに可愛い。超愛らしい。しかしこいつ、なかなか触らせてもらえない。僕が少しでも抱き抱えようとすれば、すぐにこの針が一斉に逆立つのである。痛くてそう長い時間触れたもんじゃない。ただ僕の手の暖かさを伝えたいだけなのに、針が当たって伝わらない。うーむ。これが正にハリネズミのジレンマ……いや、っていうか一方的だからこれはエゴか。


 そんなこんなで抱き抱えては痛みに耐えかねて離し、抱き抱えては痛みに耐えかねて離し、あっという間に三十分が経ってしまった。手が痛い。店員からはあのマリーちゃんをこれだけ抱ければ大したもんだ、と太鼓判を押してもらったが、その店員はさもパソコンのマウスでも持つが如く、軽々とマリーちゃんを抱いてみせるのだ。ちなみに上記の写真は僕が写真を撮ろうと悪戦苦闘していたところ、見かねた店員がマリーちゃんを抱いて、シャッターチャンスを作ってくれた際のものである。

 ふれあいタイム終了後、一人暮らしでハリネズミを飼おうと思っている旨を店員に伝えると、色々ハリネズミの世話方法について教えてくれた。要点を以下にまとめる。

 

  1.  食事は一日一回。餌の量は体重の10%。
  2.  温度は常に25度を保つようにする。
  3.  音に非常に敏感。
  4.  おやつとしてミールワーム等生きた虫をあげる。
  5.  トイレを覚えさせるのは不可能。
  6.  夜行性なので基本夜はうるさい。

 

 等々。確かに今の部屋にハリネズミを迎え入れるにあたって改善しなければいけないところ、用意しなければいけないものは若干あるものの、僕でも十分飼えそうである。その日はまだ引っ越しが落ち着いていない状態だったのでひとまず帰ることにして、引っ越しが落ち着いたらまた来ることを約束した。

 

 

 店を出て近くの駐車場まで歩きながら、僕はふと店を出る際に視界の端に入ったカフェ店内の張り紙に書いてある文字について考えていた。考えてみればそうである。僕はハリネズミを飼うにあたって、非常に重要な点を忘れていた。いや、あえて見ないようにしていたのかもしれない。何かを得るということは何かを犠牲にしなければいけないということで、それはハリネズミを飼うにあたっても同じだ、ということを。

 

ハリネズミの生体販売しています
           ¥38900~”

 

 今月金欠なんだよなぁ。