片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

トンネルを抜けるとトンネルだった3

「それでさ、考えたんだよ。逆に自分からぼっちになってやろうって」
 そうマイク越しに僕が言うと、
「馬鹿じゃねえの?」
 という声がイヤフォンを通して聞こえてきた。
 中学でskypeを散々やっていた僕には、幸いなことにskype仲間というものが出来ていた。高校で喋る人間はついぞ見つけることができないまま完全にコミュニティにあぶれた僕だったが、中学からのコミュニティは未だに途切れてはいなかった。
 中でもこの友人Yとは中学卒業後も何度か通話をしていた。毒舌に長けたやつだが成績は優秀。高校は県内でもトップレベルの所に進学。成績に雲泥の差があるものの、何故か馬の合うやつだった。
「あのね君、これから高校生活三年間もあるんだよ?それでずっとぼっちとか悲惨すぎるし、それに高校での友達って大人になってからも続くじゃん。このままだと君一生孤独なままだよ?いいのそれで?」
 一々他人の癪を鷲掴みにしてくる話し方をするものの、その発言はいつも真を突いていた。その日も、あんな高校で三年間過ごすくらいなら友達を作らない方がいいという僕の話に至極最もな意見を返していた。
「そうは言ってもさ、お前はあの高校のヤバさを理解してないんだよ。全員だぜ?全員チンパン。ヤバいんだってあそこ」
「あのね君はそう言って友達を作る努力をしてないだけなんだよ。友達を作らないんじゃなくて本当は君は友達を作れないだけなんだよ」
 そう言われて言葉に詰まった。僕の思惑の半分をそっくりそのまま言い当てられたからだ。確かにその通りだった。僕はあのクラス全体に漂うリア充香に辟易しながらも、それに合わせる努力というものを全くしていなかった。できないと思ったし、したくもなかったからだ。今思えばあの頃の僕は自分で自分の枠というものを設定していて、そこから自分がはみ出さないように、あるいは誰かがこの中に入ってこないように必死に必死に努力していたのだと思う。しかし本当は、この枠を破ってでも誰かと話し、友達を作ることが大事だということは分かっていたのだ。分かっていながら必死にこの枠を守っていたのだ。それは恐らく意地とかプライドとかいう言葉に言い換えられると思う。……まああの頃というか今もなんだけどね。