片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

過去は過ぎ去りもうないけど3

 skypeの通話は楽しかった。しかし、やってみた経験がある方なら分かると思うが、この通話しながら宿題をする、というのはなかなかに難しいのだ。宿題に集中しようとすると会話が疎かになり、通話に集中しようとすると宿題が疎かになり。元来マルチタスクというのが苦手な僕としてはこの作業は至難の業だった。故に、ある時から僕は完全に片一方に集中することにした。つまり、通話をする時は他のことをせず通話だけして、宿題は他の時間でやってしまおうというのだ。なんと天才的なのだ。中二の僕。しかし次第にipod仲間が増えていくにつれて通話時間が長くなっていき、宿題に割ける時間はどんどん減っていった。やっぱアホだった。ちなみにipodがこなせるのは通話だけではない。ネットやゲームもできるのだ。アホだった僕がはまらない訳がない。当然勉強の成績は右肩下がり。しかしそんな状況になっても僕は、友達できたしいいじゃーん。ってな面もちでこの現状を楽観視していた。ぶん殴りたい。
 中学校三年時点で僕が入れそうな高校はほぼ無いといって良い状況だった。その時ばかりは焦ったらしい両親に無理矢理塾に行かされた僕は、なんとかギリギリ地元の工業高校に受かった。合格発表の時は僕一人チャリで掲示板を見に行った。掲示板に自分の数字を見つけた僕は特になんの感情も湧かないまま父と母に合格したことを連絡した。二人とも馬鹿みたいに喜んでいたのを少しだけ覚えている。チャリで来たときと同じ道を通って家に帰りながら、この道を三年間通うのか、とあくびをしながら思った。
 思えば僕はこの時あたりから自分の人生が今後、ろくでもないものにしかならないのだろうということをなんとなく分かっていたんだと思う。誰かの上に立つということを学べなかった人間が社会に出ていってどうなるのかということが。
 不安と絶望に塗れながら僕は高校生になった。