片田舎から哀をこめて

野山を駆け回る程の自然もなく、天を貫くようなビル群もない。中途半端な片田舎からお送りします

過去は過ぎ去りもうないけど2

 そんな陰惨な小学校生活を終えた僕は、田舎の風習で、そのクラスのまま中学校へ上がった。もちろんクラスが同じなのだから僕に対する扱いが変わる訳もない。中一の一年間くらいは同じような生活を送っていた。僕も僕で未だアホのまま。なすがままを受け入れる無感情人間になっていた。そして一年が経って、変わりだしたのは周りの方だった。その頃というのはいじめ問題が盛んに騒がれた年で、この中学校でもいじめに対する教育を熱心に行いだしたのだ。それに加えて中学も二年になると流石に精神も成熟してくる。その頃には僕をいじめようというやつはほぼいなくなった。まあそんな流れを口を開けてただボケーッと見ていた僕だったが、ある時ついに精神的成長の一歩を踏み出すことになる。ipod touchを購入したのだ。

 その頃僕らの中学問わず、全国の小中学校ではipod touchが大流行していた。一万円ちょいという、まあお年玉を貯めておけば買えるような値段の割に、wifi環境さえあればネットにゲームに通話に音楽にと何でもこなせる、これからスマホ世代を歩むもの達の必須アイテムだったのだ。


 中二のはじめ頃に僕はお年玉をはたいてこいつを買った。確か8GBの一番安いやつだ。その頃はまだ、僕のクラスにおいてこれを持っているやつは大分少なかったと記憶している。ある日、同じくipod touchを使いこなすやつらからこうはなしかけられた。
「田中ってipod持ってるって本当?」
 その頃、僕が知る由もなかったのだが、ipod touchを持ってるもの同士で夜中にskypeで通話をしながら宿題をするというのが流行っていた。そんで僕もその仲間に入れてくれるという。僕は喜んで参加した。
 skypeでの通話は楽しかった。この時になってようやっと、僕に友達というものができたと思っている。本当に感謝しかない。ここらへんからようやっと僕のまとも人間への道が開けてくるのである。